本日は、中古住宅選びにおいて
「災害リスクを回避する方法」について解説していきます。
昨今、日本の住宅選びでは
この視点を抜きは考えられません。
では災害リスクを回避する、
安全な住宅の選び方とはいったい何なのでしょうか?
国策である「コンパクトシティ」の概念
今考えらえる災害とは
洪水などの水害、土砂災害、地震、津波、高潮、火山活動によるものなど様々です。
昨今問題になっている水害についてですが、
まず先日の日経新聞に掲載のあった記事から解説します。
国の政策として、
コンパクトシティという概念があります。
これは人口減少の日本のなかで、市街地の拡散を防ぎ高密度な都市を形成することで
インフラを集約し、財政改善をはかり、充実した公共行政サービスや福祉・医療サービスを
今後も継続的に行っていくための政府構想です。
広がっていた市街地を主要最寄り駅を中心に、キュッとコンパクトにまとめる
というイメージですね。
そして、都市部の資産価値が高い場所に人々が住むことにより固定資産税などの
地方自治体の税収押し上げに貢献する、という面もあります。
また、エネルギーの効率的な利用やCO2排出の削減などもテーマの一つです。
つまり、限られた資源の集中的・効率的な利用によって
サスティナブル(持続可能)な都市や社会を実現していきましょう、
ということですね。
このコンパクトとシティについては、
過去のYouTubeで詳しく解説していますので
そちらもご覧ください。
コンパクトシティは
立地適正化計画にしたがって整備されてきており、
全国で522の都市が取り組んでいて、326都市が公表しています。
居住誘導区域と災害の危険性
そのコンパクトシティ構想の中で
住宅の立地を促す「居住誘導区域」というエリアを設定しているのですが、
この居住誘導区域と災害の危険性がある地域とが重なっていないかどうか、
ということを275都市について2019.12月に国交省が調査しました。
その結果は、
浸水想定地域と重なる都市は88%の割合で242都市、
土砂災害警戒区域と重なる都市が34%、93都市、
津波浸水想定区域と重なる都市は27%、74都市
という結果です。
つまり、
住宅を誘導している区域で
8割から9割の地域には浸水する恐れのある区域が含まれているということになります。
居住誘導区域外に住むことは
インフラ整備が進まず住環境が悪くなり資産価値も落ちる恐れがありますが、
居住誘導区域内でも浸水する危険性がある場所がたくさんある、ということなのです。
ですから、
これはやはり居住誘導区域内であっても
「ハザードマップ」をよく確認して購入しなければならないという結論になります。
ハザードマップはかなり正確?
一戸建に住む場合には
浸水=命の危険
ということに即つながるケースが充分あり得ます。
ですから、必ず購入前には「ハザードマップ」を充分チェックする必要があります。
先日の熊本の球磨川流域の浸水被害などは、
この浸水想定地域のハザードマップがほぼ示しているとおりに浸水してしまっていたようなんです。
かなり正確に調査されていることがわかります。
ハザードマップは
各自治体のホームページなどで詳しく確認できると思いますので
是非事前に、ご自身で確認することをお勧めします。
そして
一戸建てでしたら、
出来るだけといいますか出来ればこのブログをお読みいただいている皆様は
絶対に浸水想定区域内では新たに購入しないこと、
それからマンションであれば出来るだけ3、4階以上の部屋にすること
などが必要となってきます。
これは津波被害についても同じことがいえると思います。
津波浸水想定区域内では、出来るだけ一戸建ては購入しないことや
マンションであれば出来るだけ上階の部屋にすることなどが重要です。
津波浸水想定区域・高潮警戒区域につきましても
各自治体のハザードマップで確認できると思いますので
是非、しっかりとチェックしてから購入検討をして下さい。
地震について
水害の他には
日本ではやはり地震の被害です。
地震災害の回避に関しては
まず地盤の確認、液状化の確認、耐震性の確認
これをしていただきたいのです。
地盤の確認は
表層地質図と土質柱状図である程度確認できます。
これもどちらも各自治体のホームページなどで
確認できることが多いですね。
表層地質図では
表層から数十メートルまでの深さの地層が
どのようになっているかを見ることが出来ます。
古い地層であれば固い地盤で、
新しい地層であれば比較的弱い地盤だということです。
古い層を洪積層、新しいのを沖積層(ちゅうせき層)といいますが、
もちろん立地としては、古い固い地盤がいいということです。
土質柱状図では
マンションなどの場合の支持地盤の深さなどがわかります。
あまり支持地盤が深くない方がいいということになります。
もう一つは液状化予測図です。
液状化というのは地震が起こったときに
地盤が液体状になる現象のことですね。
比重の大きい建物などが埋もれたり倒れたりしたり、
比重の小さい下水管が浮き上がったりもします。
埋立地に多い現象といわれますが、
実は日本中の平野のどこで起こったとしても不思議ではありません。
そこでこの液状化に関しても
マップで確認する必要がありますが
これもネットで確認できる自治体も多数ありますので
是非確認してみてください。
確認できるサイトとしては、
国土交通省の「わが町ハザードマップ」というサイトがあります。
ここから全国の自治体のハザードマップに飛んでいけますので、
いまのご自宅も含めて確認してみてはいかがでしょうか。
まとめ 安全性の高い住宅選び
各都市のハザードマッを確認し、
居住誘導区域内がある都市はその居住誘導区域内においてハザードマップを確認し、
それぞれの災害項目においても安全性が高い地域の住宅を選ぶ、
土地に関してはこのような事前チェックをしっかり行ってから
購入検討をすることをお勧めします。
そして、建物自体の耐震性の確認も忘れてはいけません。
これはYouTubeなどでも何度も解説しております通り、
新耐震の建物にして下さい、
ということです。
旧耐震でも耐震診断が一定基準をクリアしていたり、
耐震補強をしている物件にして下さい。
新耐震とは
1981年6月1日以降に建築確認済証が交付された建物です。
そして、
木造住宅などに関しては建築基準法が2000年にも改正されて、
それ以降に建築された建物は地耐力を調べる地盤調査が必須になっています。
ですから2000年以降の戸建建築であれば
なお安全性が増すといえます。
是非このあたりを押さえて住宅を選んでください。
そして、いざ災害が起こったときの為に、日頃から緊急避難場所の確認や避難経路の確認などにも取り組んでいただき、身の安全を確保する行動をとって頂きたいと思います。
災害に対する安全性、という分野は
今後は、資産価値にも十分に影響を与えていくことは間違いありません。
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